No Child Soldiers

これは、いま世界各地で繰り広げられている紛争に暗渠する「子供兵問題」を世界中の人々に認知してもらおうという目的で企画された、アフリカの15人のミュージシャンによるコンピレーション・アルバムだ。日本で名の知れたアーティストでは、セネガル出身のYoussou N'dour (ユッスー・ンドゥール) が参加している。収益の一部は子どもの犠牲者へ寄付されるとのこと。
子ども兵の問題に関しては、「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 子ども兵──「見えない」兵士たち」にきれいにまとめられている。

子ども兵とは、男女問わず18歳未満の子どもの兵士のこと(Child soldier)。その姿は、発展途上国の武力紛争で見られ、物資の運搬や食事等の作業のみならず、実際の戦闘、かく乱、誘拐、スパイ活動、さらには自爆テロの弾頭として「消費」される。少女の場合は、兵士に「妻」として与えられ、性的虐待にあったり、身の回りの世話などをさせられたりすることが多い。
子ども兵は成年兵と比べ安価で使い捨てが可能であり、政府側も反対勢力側も、拉致したり誘拐したり唆したりして、動員する。ただし、各組織は、子ども兵があってはならない存在だと認識しているため、国連やNGOの調査に対して、子ども兵など存在しないと答えており、実態は隠されている。子どもは紛争の中で運良く生きながらえても、成年兵へと姿を変えて見えなくなっていく。

ジャケットに同封されているブックレットによると、6歳から17歳までの約30,000人の子どもたちが、世界の約20の紛争地帯にて子ども兵として利用されているということだ。
さて収録の曲について。英語で歌われているものも一部あるが、ほとんどの曲がアフリカの言葉で歌われている (フランス語もあるかも)。歌詞を理解できないのが何とも残念なところだけど、それでも十分に堪能することができる。彼らはこの悲惨な問題を、陽気なリズムに乗せて 世界に訴えるのである。アフリカンミュージックに興味はあるんだけど手始めに何を買っていいか分からない、という方にもオススメできるものだと思う。
このCDに収められている、参加アーティスト全員で歌う「Bemamou」という曲の映像をYouTubeで見ることができるようだ。


なおこのCDはフランスで発売されているものであり日本語版はいまのところ、ない。私はAmazonで買ったんだけど、注文から配送まで約一ヶ月かかった。タワーレコードでは取り扱われていないようだが、HMVで入手できるようだ。