半落ち (横山秀夫)

半落ち
半落ち」――― 容疑者に対する取り調べにおいて、犯行・動機などをすべて容疑者の口から吐露させたことを指す「完落ち」に対して、「半落ち」。49歳の現職警察官がアルツハイマーを患う妻を殺害し自首。動機も犯行も素直に自供するが、犯行から自首までの2日間の行動については頑なに口を閉ざし続ける「半落ち」である。一体この2日間に何が―――。
物語は6章構成で、各章毎に異なる主人公が用意され、各人がこの空白の2日間を追う。巨大な警察組織とそれに属する個人との軋轢がリアルに描写される。読中、思わずページを閉じて心の疼きに耐えなければならないことがたびたびあった。
キーワードは「人間五十年」という言葉になろうか。そうか、オレもあと20年も経てばこの年齢を迎えるのか。あと20年、おれは誰のために生きるんだろう (←ここら辺もキーワードだったりする)。