メリーでないクリスマスソングを好んだ世代

クリスマスまであと4日となる今日、いや、かれこれ1ヶ月も前より、ラジオはクリスマスソングを競って放送している。毎年この種の定番曲を耳にする度に「ああ今年ももうこんな季節なのか」と年末の一大イベントシーズンの到来を自覚させられる。
しかしご存じの通り、Wham!の“Last Christmas”(1984)、山下達郎の“クリスマスイブ”(1983) などの歌詞は決して「幸せ者」の歌ではなく、いま風の言葉でいうといわゆる「クリスマス負け組」者の詩である。(なおこの傾向はその後B'zの“いつかのメリークリスマス”(1992)に受け継がれたかたちになる。)
オレらの世代(20代後半)の人間がこれらの楽曲によってシーズンの到来を自覚するのは、物心のつく頃より毎年この時期になるとこれらの楽曲が街を占拠していたことによる。まあいわばインプリンティングに近い。だから歌詞が幸せかどうかなんてこととはまた別の次元だと言うことができる。
じゃあ、インプリンティング世代ではない世代―――これらの楽曲の敷衍を幇助してきた世代、現在40代の人々―――って、なんでこれらの曲を選んだんだろう。なんでよりによってこんな“暗い”歌詞の曲を好んだんだろう。「教えてよ40代の人!」と問うたところでもう覚えておられないのかもしれないが。