不揃いの蜜柑たち

そういえば最近楽天市場のポイントを行使してミカンを一箱購入した。自分でミカンを箱買いしたことないので5kgで約2000円という価格は高いのか安いのか分からんけど、これが超ウメー。超あまー。この幸せがしばらく続くのだ、うひ。
ところでこの5kg箱の中に入っているミカンは、大きさがさまざま。正月の注連飾りについている「だいだい」をひとまわり大きくした程度のものから、伊予柑ほどのものまで。そう、このばらつきが本来の「収穫後のみかんの姿」なのだなと実感すると同時に、幼き頃に抱いた“ある感覚”を思い出した。
おれの祖父祖母はおれの家のすぐ近所に住んでおり、生業である稲作のかたわら、わりと大きな家庭菜園をつくっていた。なす・きゅうり・トマトなどの野菜類からスイカ・いちごなどの果物類まで、菜園の収穫物を頻繁に「おすそわけ」してもらっていた。時にはお手伝いという名目で何度も畑に遊びに行っていたもんだ。
畑の収穫で幼心に楽しみにしていたことは、収穫される野菜の「形」だった。たとえばスーパーで売っているキュウリは一律にきれいな円筒形だが、実際畑で獲れるキュウリにそんな円筒形のものはまず皆無である。たいていのものは大きく湾曲しているのが普通で、中には「α」を描いているものもあり、小さい頃のオレはこういう個性の強い形をした野菜を見つけることを楽しみにしていた。
このようにばあちゃんの野菜に慣れ親しんでいたオレは、スーパーの野菜売り場にきれいな形をした野菜が並んでいるのを目にするたびに「なんでこんなにみんな同じ形なんだろう」と不思議に思っていたものだ。
ばあちゃんも随分前に亡くなり菜園は閉じられ、いつの間にかスーパーの光景に違和感を抱かなくなっていた。たまたま通販で買った「不揃いの蜜柑たち」は、幼い頃に抱いた違和感を思い出させてくれた。