朝のプチ・ミステリィ

朝の通勤途上、自動車税を納付するために郵便局に立ち寄る。ちょうど通勤路に小さな郵便局があり、おれは毎年この時期になると「自動車税納付」というセレモニーのために決まってこの郵便局を利用する。そして毎年この恒例行事でしかこの郵便局を利用しない。
さて今年も例年通りこの郵便局を訪れ、自動ドアの前に立つ。しかし、ドアが開かない。今日は休業日か? いやいや今日は平日のはず。それとも郵政民営化に伴ってこの郵便局は閉鎖になったのか? いやいやそんなにすぐに民営化の影響が顕れることはないだろう、現に透明の自動ドアごしに中を見ると、中で人が動いている。
ちっ、自動ドアの故障か。
しかたなく、壊れたドアを力ずくで開けることにする。これまでにも幾度か、故障した自動ドアに出くわしたことがあるのだが、そんなときは力いっぱいドアを押すことによって解決できたものだった。そんな経験に基づいてこの行動を決意したものの、今回はどうも勝手が違う。ドアが開かない、びくともしない。
―――もしかして中で何か起こっているんだろうか。
そんな不安に駆られながらも、引き続きドアに手をかける。
そのうち、裏口より若い郵便局員が登場。ドアが開かないことを目で訴えるおれにこう一言。
「開店までもうしばらくお待ち下さい」
5月22日、8時30分。出勤時刻を繰り上げるようになってはじめて知った「常識」――― 郵便局って9時開店やったんか。それにしても開店前の局の自動ドアを力ずくで開けようとするアホを内側からみる局員は、もしかして小さな不安を感じていたかもしれない。
いやホンマすんません。