「脳が冴える15の習慣 (築山節著)」は、「大人が変わる生活指導 (原田隆史著)」の効果を裏付ける

脳が冴える15の習慣 記憶・集中・思考力を高める (生活人新書)

脳が冴える15の習慣 記憶・集中・思考力を高める (生活人新書)

本一冊を振り返り要約をこのように文章に起こすのは本当に大変だ。そこへ来て、この本は良い。何がよいかというと、目次がそのまま本文の要約になるところだ。

習慣1 生活の原点をつくる:
脳を活性化させる朝の過ごし方。足・手・口をよく動かそう
習慣2 集中力を高める:
生活のどこかに「試験を受けている状態」を持とう
習慣3 睡眠の意義:
夜は情報を蓄える時間。睡眠中の「整理力」を利用しよう
習慣4 脳の持続力を高める:
家事こそ「脳トレ」。雑用を積極的にこなそう
習慣5 問題解決能力を高める:
自分を動かす「ルール」と「行動予定表」をつくろう
習慣6 思考の整理:
忙しいときほど「机の片付け」を優先させよう
習慣7 注意力を高める:
意識して目をよく動かそう。耳から情報を取ろう
習慣8 記憶力を高める:
「報告書」「まとめ」「ブログ」を積極的に書こう
習慣9 話す力を高める:
メモや写真などを手がかりにして、長い話を組み立てよう
習慣10 表現を豊かにする:
「たとえ話」を混ぜながら、相手の身になって話そう
習慣11 脳を健康に保つ食事:
脳のためにも、適度な運動と「腹八分目」を心がけよう
習慣12 脳の健康診断:
定期的に画像検査を受け、脳の状態をチェックしよう
習慣13 脳の自己管理:
「失敗ノート」を書こう。自分の批判者を大切にしよう
習慣14 想像力を高める:
ひらめきは「余計なこと」の中にある。活動をマルチにしよう
習慣15 意欲を高める:
人を好意的に評価しよう。時にはダメな自分を見せよう

特に特別なツールが必要とされるわけではない (習慣12はやや特殊だが)。特に難しいことをするわけでもない。脳を活性化させるということはすなわち、規則正しい、また社会的な生活に心がけるということだと著者は訴える。

大人が変わる生活指導
大人が変わる生活指導」の著者・原田隆史氏は、生活指導によってふつうの公立中学校の陸上部を13度の日本一に導いた実績を持つ、元教師である。この本のなかで原田氏は、日常生活の改善指導により、劇的に営業成績を伸ばした人、起業が成功した人、仕事の成果だけでなく夫婦関係や子どもとの関係が改善した人、長年の持病が快方に向かった(!)人などの例を挙げている。なんとも不可思議な話だが、その理由として原田氏は、自分に課した小さな目標を達成することで自信がうまれ、それがやがて人間力の向上につながるのだと説く。
興味深いことに、「大人が変わる〜」に挙げられている生活指導のいくつかは、「脳が冴える〜」で勧められる習慣に重なる。これらが脳の活性化を促して人生を成功に導いたと考えることもできるのではないか。
教育改革や自己啓発セミナーなども結構だけど、まず目を向けるべきは日々の不摂生の改善かもしれない。