検察審査会体験記 補遺

先日ポストした 検察審査会体験記 (1/2) - 独言ノ綴, 検察審査会体験記 (2/2) - 独言ノ綴は多くの方にお読みいただいた様子。漫画家の牧村しのぶさんは、私のこの記事のため? に1エントリを起こしてくださっており、まずは感謝いたします。

しかしながら、私のつたない文章力のせいか、いくつか誤解を与えてしまっている様子なので、上の牧村さんの文章を引用しながら前記事への補遺とします。

選ばれたメンバーは、バラエティに富んでいる、ということですが、リンク先を見ると主婦の方と年輩の男性が比較的多いように思われます(不明の方もいます)

私の記事からこう判断されたのかどうか分かりませんが、この表現は誤解を招きかねません。少なくとも私の記事は、参加者のバックグラウンドの多様さを説明するためにそれぞれの属性を抽出したもので、検察審査員11人(+補助員)全員の構成を説明する物ではありません。

年配の方が多いというのは間違いではありませんが、これは日本の社会構成比を考えるとさほど不思議なことではないと思います。もっとも、検察審査員選出の際に70歳以上の者は辞退を許されるという制度のせいか、私たちのグループでは、最高齢でも60歳前後でした。つまり全員が「現役世代」でした。

配られる資料は、そのままでなく、「シロートにも理解できるようにアレンジされている」という点が気になりました

これは言葉足らずでした。

供述調書をはじめとする各資料の内容が「アレンジされている」のではありません。証拠資料の内容で司法知識のない者にとっては難解な記述について、それを説明する資料(書籍のコピーなど)が別添されているという意味での「アレンジ」です。

しかもその資料ですら、読みやすいものではなく、寝ている審査員もいたということです

アレンジされた資料を使って、説明を受け、しかも資料を読まずに居眠りする審査員がいる審査会議で、人の一生を左右する決定が下され、しかも、それが強制力を持つというのは私にはきわめて危ういことに思えます


どこをどう読まれたのか分かりませんが、まったく「資料を読まずに居眠り」する人はいませんでした。

誰しも昼下がりという時間帯は眠気を覚えるものだとおもいます。とくに普段文章を読むことを生業としない職人の方々にとっては尚更でしょう。与えられた義務を果たすべく、コーヒーを片手に資料を読もうと努力するも、分厚い資料を読み進めるうちに、つい眠気をおぼえウトウトしまった。ただそれだけの話です。

また「資料は読みやすいものではない」について。

うまく形容することが難しいので、例をあげます。用意される資料は様々な書類が含まれます。たとえば同一人物を指すときに「申立人」「被告」「甲」「乙」など、書類によって様々な表現が使い分けられています。一つ一つの文章としては素人が読むにしてもさほど難しくないけど、これらの指示代名詞を解決しながら読む必要があるのですんなりとは読めない、つまり「読みにくい」のです。

牧村さんが期待するような、検察審査事務局が意図的に難解な資料を用意しているなんてことはないです。

ついでなので検察審査会事務局について。検察審査に必要な資料の準備は、検察ではなくこの検察審査会事務局が行います。また検察審査会議にアテンドし、審査員の質問に対して丁寧に回答いただけます。あとこれは私の主観となりますが、回答に際して、会議を誘導して議決を操作しないよう、中立に気を留めて話をされている風でした。